「生活が、社会が変わり、普通が変わっていった」古くからある野良着って日本の作業着兼クライミングパンツ?
「ミリタリーウェアには国関係なく、いつも心惹かれてしまう」そんな話を綴った少し前のブログ。
僕は「ワークウェア」もすごく、すごく大好きです!(たくさんの知識を持っているわけではありませんが、、。)
ミリタリーウェアのように、「ワークウェア」も本質的には同じだと思っています。ただ「生きぬくための道具」というよりかは「生活の服」というふうな印象を持っています。
そして、アウトドアウェアのデザインやディティールにはミリタリーやワークウェアを作られる際に生まれたものが採用されていたり、参考にされています。(徐々に分かり始めた時、ワクワクしたのを覚えています。)
山を登り、川を渡り、自然の中で自由を見つけるための道具、気持ちが楽しくなる方へ赴くための道具に転用されることの面白さを纏う。それでいて見た目の良さ、自分らしく着飾ることも楽しんでいきたものです。
今日は「クライミングパンツ」のお話。
1982年に「股が180度開脚することができる」というギミック(ガゼットクロス)が特徴のクライミングに適したパンツが爆誕します。(僕の大好きなグラミチのこと!)
ワークウェアやミリタリーウェアをベースに、岩場での動きやすさを追求して生まれましたと考えられます。
当店では取り扱わせてもらっている4c studiosのクライミングパンツはガゼットクロスが採用される「所謂なもの」ではありません。
立体裁断かつ原さんのクライミングで培われた知識により生まれたデザインがとても面白く、取り扱いさせていただいております。(詳しくは是非こちらを読んでいただけたら嬉しいです。)
グラミチパンツができる以前、みんなはどんな服を着て外遊びを楽しみ、普段を過ごしていたのだろうか。とても気になってきます。
造船業や林業、農業など自然に近い仕事を主にしていた西海岸、山や海、現場仕事が身近だったから、動きやすい服であるデニムやシャンブレーシャツなどが仕事着で選ばれていました。(ミリタリーウェアも同じように取り入れられていたように考えられます。)
写真からわかるように動きやすい仕事着は日常だけでなく、休日に山へ遊びにいくときにも着ていたことがわかります。
ここでもう一つ疑問も出てきます。日本人はどうしていたのか?
日本にはそれよりずっと以前から、自然の中で身体を動かすための衣服がありました。
それが野良着です。
畑を耕し、山へ入り、薪を採り、ときには狩猟をする。
そんな暮らしの中で、しゃがみやすく、足を大きく開け、歩きやすく、働きやすいよう改良が重ねられてきました。
目的は外遊び用ではないですが、「自然の中で身体を自由に動かすための服」という視点で見れば、野良着はすでにその役割を担っていました。
(当時の野良着”猿袴(さっぱかま)”、縁日作成の冊子より。)
ワークウェアやミリタリーウェアからクライミングパンツが生まれたように、日本では着物から「野良着」が生まれます。
異なる文化の中で生まれながらも、身体の動きを追求した結果として、似た思想と機能にたどり着いているのは、とても興味深いことだと改めて思いました。
少し脱線しますが。
明治(1877年〜)以降、西洋文化の流入によって衣服は徐々に洋装化していきます。
その変化は一斉にではなく、地域や世代、暮らし方によって何十年もかけてゆっくりと進みました。男性は大正時代頃からシャツやズボンを取り入れ始め、女性は戦後になってブラウスなどの洋装が広まります。
このことで「普通」は不変ではないということがわかります。
暮らしが変われば、普通も変わる。
草履が革靴やスニーカーになり、野良着がデニムやトラウザーズになったように、その時代の暮らしに合わせて人が身に纏うものは少しずつ姿を変えていく。
僕らにとっての山のパンツも、野良着からトラウザーズ、そしてクライミングパンツへと姿を変え、今では180度開脚できるパターンや、さまざまな素材を用いたものが当たり前になりました。
けれど、そのずっと前から、日本には自然の中で身体を動かすための服がありました。
それが野良着です。
野良着は、ただの昔の作業着ではありません。
暮らしと自然を行き来するために生まれ、身体を自由に動かすための工夫が積み重ねられた衣服です。
だから野良着を過去のものとして見るのではなく、日々の暮らしとハイキングなどの外遊びを心地よくつなぐ服を考えるヒントとして、もう一度見つめ直してみたいと思っています。
ずっと前に某アウトドアブランドが出していた野良着型のパンツを履いていましたが、腰紐を毎回結ばないといけないのが苦ですぐ飽きてしまったのを覚えています。
まんま野良着ではなく、現在的でありながら良さを残しているものはないかと考えていたときに岩手県一関市を拠点にしている「縁日」に出会うことができました。
東北に伝わる野良着、猿袴(さっぱかま)。
尻に適度な生地のゆとりがあることや、ふくらはぎから足首にかけて細く作られていること。
それらは山での動きやすさや、足運びをよくするために考えられた形が特徴です。
腰紐はイージーウエストになり、細かくリデザインされている縁日の創る「SAPPKAMA02」。
「過去の中に、未来の姿がある。」
誰かが言っていた言葉を思い浮かべながら、今年は日本由来のワークウェアを身にまとい、ハイキングを楽しみたいと思います。








